2017年2月6日月曜日

魅惑の中国古陶磁を見てみよう!



http://exp0stargalaxy.blogspot.jp/2017/02/blog-post_5.html
前回のつづきとなります。


テレビ番組・『なんでも鑑定団』で取り上げられ、「番組史上最大の発見! 曜変天目の4つめを発見!?」などとセンセーショナルに報道され、にわかに関心が高まっている中国古陶磁。


鎌倉時代以降、わが国では中国陶磁器は唐物と呼ばれ、高僧、豪商、または時の権力者に愛でられ、貴重なものとして大切に伝来してきました。


今回はそんな、日本に伝来している中国陶磁器を、国宝や重文といった文化財指定を受けたものをメインに見て行こうじゃないか。







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☆曜変天目茶碗 ようへんてんもく  銘:稲葉天目 (国宝!) 南宋時代




☝・・・「曜変天目」とは、ご覧のように碗の見込みを覗き込むと、そこにはたくさんの美しい斑紋がちりばめられている。 それらはホログラムのように光の種類、当て方などによってその表情を変え、碗を手に取った者を引き込む魅力を持っている。


曜変天目はかつて、現存するのは日本に伝来する3点のみで、中国で生産されたと思われるものの、その詳細については謎に包まれていた。 しかし近年、発掘調査により中国本土でも出土し、様々な新発見がされている。









☝・・・さて、「稲葉天目」は、日本に伝存する曜変天目のなかでは最も斑紋がくっきりとしていて、〝曜変天目”といえば、通常この碗をイメージする人が多いようだ。


この碗の見込みを覗いて、人は星々を連想するとゆうけれど、わたしは星々とゆうよりも、その中心にある漆黒の深淵に心惹かれる。 宇宙に存在する全物質の7割相当と推定されているダークマター、あるいはブラックホール的な、ね。







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☆藤田美術館蔵 曜変天目茶碗 (国宝!) 南宋時代










☝・・・日本で国宝に指定されている曜変天目は3点ですが、それぞれその斑紋、光彩の出方といった、曜変の味わいが碗ごとに異なります。 偶然が生み出した、作為の無い美しさ・・・。 再現不可能とゆう点でも、その貴重性、神秘性が増しているともいえるでしょう。


藤田美術館蔵の曜変天目は、斑紋の現れ方は「稲葉天目」に及ばないものの、筋目の付いた光彩の現れかた、深みのある群青色のグラデーションは実に見事で、稲葉天目に勝るとも劣らないといえるだろう。







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☆油滴天目茶碗 ゆてきてんもく (国宝!) 南宋時代








☝・・・この碗も天目茶碗の一種で、釉薬の模様があたかも油を垂らしたように見えることから、「油滴天目」と呼ばれている。


これらの天目茶碗は鎌倉時代(中国では南宋時代)、中国へ留学した僧が喫茶の文化を知り、帰国する際に持ち帰ったものだと言われている。 しかし、それはあくまで伝説であり、本当のところは輸入・交易品として多量に持ち込まれたとゆうのが本当のことみたいだ。


これらの「天目茶碗」は、当時は雑器として作られ数も多かったことから、現在ほどの貴重品ではなかったものの、時代時代のふるいにかけられ、優れたものだけが名品として今日まで伝わっている。


骨董や古美術といった名品の妙とは、モノの中に普遍的な美を見出し、すべての時代の途中で捨てられることなく、丁寧に扱われ伝わってきたとゆう連続性や、その間に起こった、そのモノにまつわるいくつかのエピソードなのでしょうね。







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☆柿釉金銀彩牡丹文碗 かきゆうきんぎんさいぼたんもんわん (重要文化財) 北宋時代








☝・・・こちらは人の手で牡丹が描き込まれていることから、さきほどの天目茶碗とは趣が異なるね。  赤茶色の柿釉の色が渋い、平たいお碗。







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黒釉金彩瑞花文碗 こくゆうきんさいずいかもんわん (重要文化財) 北宋時代



☝・・・こちらは黒釉の碗。 薄づくりで平たい、杯のような形をしているのが、北宋時代の碗の特徴なのだそう。


口径は約19センチと、それなりの大きさであるから、お茶ではなくごちそうが盛り付けられていたのだろうか。 私がもし権力者だったなら、この器にチャーハン大盛りで楽しみたいね。 アツアツなものを、レンゲでカチャカチャ鳴らしながら。







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☆玳玻天目茶碗 たいひてんもくちゃわん (文化財の指定なし) 南宋時代



☝・・・文化財指定されている玳玻天目を載せたかったけど、あいにく良質な画像が見つからなかったので代わりにこちらを。


玳玻天目とは、鼈甲(べっこう)の味わい・雰囲気を陶器に再現させたとゆうコンセプトの茶碗であるみたいだよ。 光彩をともなった釉薬の光り具合がいいね。







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☆黄天目茶碗 きてんもく 銘:珠光天目 (文化財の指定なし) 南宋~元時代



☝・・・侘茶の創始者・村田珠光が所持したとゆう天目茶碗。


画像ではわかりずらいですが、この茶碗は口縁から内側にやや黄色みを帯びていて、その雰囲気はいかにも侘茶の精神にかなった、渋い味わいの茶碗です。







関連で、


☆伝 真田信之所用 黄天目茶碗



☝・・・こちらは先ほどとは一転、華やかな黄色みで、「黄天目」とゆう呼び方も納得ですね。







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☆青磁茶碗 銘:馬蝗絆 ばこうはん (重要文化財) 南宋時代










☝・・・青磁の名品。 マンガ・『美味しんぼ』の劇中にも話題として登場することで有名な茶碗ですw


パールとか胡粉系といった質感を感じる、不思議で心惹かれる光沢を放つ青磁ですね~。 ・。・


そういえば青磁とは、古く中国の人が「玉」を人工的に作れないかと試行錯誤したことがその始まりだと言われている。


現代人が古代の人同様、陶器に魅力を感じるのも、その器の釉薬に宝石の輝きだとか、貴石といった鉱物の結晶のきらめきが、見ていて美しいと感じるからなのでしょうね。


と、すれば、作陶とは、人の手で宝石・貴石を作り出す作業なのかもしれないね。







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☆青磁輪花鉢 せいじりんかばち (重要文化財) 南宋時代










☝・・・こちらは「貫入」の入った青磁。


「貫入青磁」は現代に入り、歴代の陶芸家諸氏の努力のたまもので、本歌とはほぼ同じクオリティーのものが再現されている。 しかしそれは、管理の行き届いた電気・ガス窯の存在や化学の知識を駆使した釉薬のおかげであり、本歌が作られていた南宋時代の技術水準を思うに、とても奇跡的な出来具合いだと驚嘆してしまうよ。







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☆砧青磁茶碗 きぬたせいじ 銘:満月  (文化財の指定なし) 南宋時代



☝・・・こちらも青磁のお茶碗。 金ぴかの口縁の覆輪が、リッチで贅沢な雰囲気を醸し出しているね。


こんな茶碗で白がゆを食べてみたいなw







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☆飛青磁 花生 とびせいじ はないけ (国宝!) 元時代










☝・・・ブチの入った青磁の花生け。 「魅惑のS字曲線」を彷彿とさせる、実に柔和な姿をしているね。


元時代のものとはとても思えない、シミや傷といった劣化がまるでない事にも驚きだ。







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☆三彩宝相華文三足盤 さんさいほうそうげもんさんそくばん (重要文化財) 唐時代










☝・・・唐三彩とは、唐時代の貴族の墓の副葬品として作られた陶器の通称である。 「三彩」・・・〝三つのいろどり”とは、釉薬の緑と黄褐色、そして素地の白の三色を指す。


ってゆうか、唐三彩はどこかしら異色ですね。 美しいのだけれど、なんてゆうか、中国的な美しさとゆうよりは、イスラムの幾何学文様に近いものを感じるとゆうか。 唐の都・長安は国際都市だったらしいし、そういった世相をこの陶器の文様は反映しているのかな。







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☆三彩龍耳瓶 さんさいりゅうじへい (重要文化財) 唐時代










☝・・・唐三彩の美しい飾り壺。


・・・美しいものの、見ていて安心のできない、どこか不安を感じてしまうような妖しさを持つその美しさは、死者に供えた器物だからなのだろうか。







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☆肩衝茶入 かたつきちゃいれ 銘:初花 (重要文化財) 南宋または元時代



☝・・・中国から伝来した陶磁器として忘れてはならないのが、「茶入」である。 わが国に伝わった唐物茶入のなかで、王様といっていい存在がこの「初花」だという。


茶入は戦国時代の武将や豪商に大いにもてはやされたそうで、そのエピソードの数々はマンガ・『へうげもの』にて詳しく紹介されている。







☆唐物肩衝茶入 銘:油屋 (重要文化財) 南宋時代



☝・・・肩衝:かたつき とは、茶器を人体に見立てたとき、肩が突き出ているように見えることから、そのように呼ばれてるようになったのかな。 ・・・それはそうと、盆にちょこんと乗っている姿は可愛らしいね。







☆唐物肩衝茶入 銘:北野 (重要文化財) 南宋時代




☝・・・茶入とは要するに、抹茶を入れるための単なる小壺・・・。 そこには、天目茶碗や青磁といった、ほかの陶器にある華やかさはあいにく持ち合わせていない。







☆唐物肩衝茶入 銘:松野 (重要文化財) 南宋時代



☝・・・茶入は地味で渋い釉調であり、天目や青磁といった華やかさはないけれど、それらとは別種の魅力を持っている。 その魅力とは、姿、形の持つ美しさだとか、存在感といったものと言えるのではないだろうか。


うまく文章には言い表せないけれど、ぷっくりとまるっこい茶入はかわいいね。







☆唐物茄子茶入 銘:付藻茄子 つくもなす (文化財の指定なし) 南宋~元時代




☝・・・こちらは戦国時代、下剋上の梟雄として有名な、松永弾正久秀が所有していた茶入として有名な一品で、彼が所持している時は「九十九髪茄子 つくもがみ なす」と呼ばれていた。


九十九髪・・・つくもがみ・・・、「付喪神」とは、長い年月を経た道具などに神や霊魂が宿ったものであり、人をたぶらかすとゆう。


この道具にも付喪神が憑いていたのだろうか? 事実、松永弾正以来、信長、秀吉、秀頼とこの茶入は主を変えたが、松永弾正は無茶な反逆からのリアル爆死、信長さんは謀反からの炎上死、秀吉さんは耄碌からの衰弱死、秀頼さんは落城からの炎上死と、まるで祟られたかのように、あまりいい死に方をしていない。


大阪城落城の戦火でこの名物茶入は破損し、付喪神は去っていったのだろうか。 漆で見た目上問題なく修復され、のちの所有者となった徳川氏に祟りは及ばなかったようだ。







(・ω・)(・ω・)(・ω・)


と! ゆうことで、長くなってきたので今回はこのあたりでお開き。 戦国大名をはじめ、時の権力者たちを魅了した、魅惑の中国古陶器の数々でした。


画像の状態の良くないものもありましたが、さすがに国宝や重要文化財クラスともなると、PC上でもそれなりに、器の魅力・迫力は伝わってきましたね。







『なんでも鑑定団』の例の騒動の真相は、もちろんわたしには分からないし、ゆえにはっきりとしたことは言えないのだけれど、思うに、出品者の方は、実名やその他、いろいろなものを世間に晒して鑑定依頼をしているのだから、そこに悪意は無さそうだよね。


とすれば、鑑定士の中島先生に問題があった、とゆう話の流れになってくるんだけれど、そこにも少しばかり違和感を感じます。


それは、中島誠之助さんは『鑑定団』始まって以来の看板鑑定士であり、番組を成功させ継続させてきた功労者でもあるからです。 長い時間をかけて築き上げてきた、ご自身と番組への信用を、わざわざ壊すようなことを普通するはずがありません。


グレーゾーンで判断が難しい品物であれば、モノがモノだけに、番組の制作責任者に相談をして、しっかりとした確信が持てるまで鑑定結果の発表を日延べすることも、中島先生ならできたはずです。 それをしなかったのだから、番組で解説したとおりの見解を、自信を持っておられるのでしょう。


では、批判や疑問を投げかけている側に問題があるのか? ・・・いいえ、そうとも言えないところが、この騒動のやっかいなところです。 例えば、中島先生の発言で、「番組始まって以来の大発見!」とゆう言葉と、下した「2500万円」とゆう評価額が釣り合わないし、何よりも持ち込まれた鑑定品に、多くの人が「こりゃあ重要文化財クラスだ!」と唸らせるような、そんないわゆるオーラが無かった。







と、このように不可解な3すくみが現れた以上、問題の本質は私たちからは見えない所にあるのかもしれません。 いわゆる、隠れた「大人の事情」とゆうヤツです。


とはいえ、仮にも 「曜変天目の4つ目を発見!?」などと、過剰なまでにセンセーショナルな「飛ばし」で大反響を呼んでしまった以上、この騒動は行きつくところまで行かないと、鎮まることは無いでしょう。


その過程で、「大人の事情」が明るみに出るかもしれませんね。


続報が気になるのです・・・!
(`・ω・´)


(つづく)



画像の引用をしたサイト

・『静嘉堂文庫美術館』

・『大阪市立東洋陶磁美術館』

・『e国寶』

・『藤田美術館』

・『文化遺産オンライン』

・『永青文庫』

・『信州松代真田大博覧会』

・『MOA美術館』

・『畠山記念館』

・『東京国立博物館』

・『MIHO MUSEUM』


ほか、グーグル画像検索による出典不明なもの数点



記載されている会社名・製品名・システム名などは、
各社の商標、または登録商標です。

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