2018年10月27日土曜日

【随筆】コンビニと、コンビニコーヒーとお月見と



つい先日の夜、わたしはコンビニに入ってコンビニコーヒーを買い求めた。 ・・・コンビニっていいですよね、雑誌を立ち読みすることもできるし、軽食を買うことができてとても便利です。 そして、何よりもコーヒー(コンビニコーヒー)が美味しい。


わたしはどちらかといえばアイスコーヒーの方が好きだけれども、10月下旬の夜ともなると、顔に当たる風はひんやりと冷たく、ホットのコーヒーでなきゃ美味しさは感じられない。


わたしはいつものようにコーヒーを買って店を出、それをすすりながら住宅街をしばし歩いていた。 そこは地方都市、そして夜なので辺りは基本的に仄暗い。 やがてしばらく歩いた先に、わたしは建物と建物の合間から明かりが差し込んでいることに気が付いたのだ。







はじめは、それが何の明かりであるのかは解らなかった。 何かの照明かな? そう思ってしまうほどの明るさがそこにはあった。 やがて近づいてみてみれば、それは満月の光であった。 月影が鮮やかに地面に映し出される、それほどの明るさだったのだ。


「なんだ、月明かりかぁ・・・」 そう思って歩みを進めようとしたところ、わたしはそれを二度見してしまったのだ。







それは、あまりにも美しい月だった。 まず、黄色味を帯びた輝ける満月。 そしてその満月を取り囲むように、ある規則性をもってたなびく雲塊。


それはまさに「月に雲紋」であった。 日本古来からある雲紋と月の構図を、そのまま実写化したかのような光景だったのだ。 あるいはそれは、真珠とそれを包み込む、あこや貝の身、とでも例えられようか。


しかもその光景は、偶然居合わせた、住宅地の合間にできた空地空間と重なって「額縁効果」となり、まるで一枚の大きな写真パネルのように目の前に現れたのだった。


そのあまりの美しさに、わたしはただただ、呆けたようにそれらをじっと眺めていた。






1分ちょっとだろうか? 雲の形はたちまちに乱れ崩れて、あとには何の変哲もない、普通の満月と雲とが、いつものようにただ空に浮かんでいるだけであった。


「うーん! 一瞬やけにキレイな月だったけれど・・・今となっては、なんだか狐か狸にバカにされたような気がするね!」


手に取ったコーヒーのカップは、まだ充分に温かい。 秋は月見の季節ともいうけれども、確かにそうかもしれないね。 少なくとも私は、秋の月が持つその神秘的な美しさを、この目で確かに垣間見た。 そう証言したい。


(つづく)




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